君だから〜たった一人の君〜


そう続く声は、掻き消された。


「亮くん?!」


その声によって。


「この間ぶりやな、また会えて嬉しいわぁ」


穏やかに微笑む麗香。


「ん…おう」


あぁあ…胸の中が、黒くてドロドロしたものに侵されていく。


「あれ…亜倖、ちゃん?」


やっと気が付いた、というように麗香が亜倖の顔を覗き込んだ。


寄りそうな眉を我慢して、作り笑顔を浮かべる。


「久しぶり…」


「雰囲気、変わりました…よね?」