君だから〜たった一人の君〜


なんとなく気まずくて、カーペットの飾りを弄った。


「亜倖?下行くんやろ?」


「あー…うん」


まだ2人でいたい。


なんて言えん。


仕方なく立ち上がって、ドアの前に立つ亮の隣に行く。


同じリズムで降りていく亮を見て、胸が苦しくなった。


一旦リビングに寄って見送ると言おうとドアを開けた。


「オカン、亮見送って…」


「おぉ!君が亮くんかぁ!?」


ニコニコしながら言ってくる、父。


その姿に亜倖の顔が引きつった。