君だから〜たった一人の君〜


腕を掴まれて、ふわりと亮に包まれた。


頬に亮の髪が触れて、目をぎゅっと瞑った。


「辛いなら…ゆわんでえぇ。無理に俺に伝えんで」


「…ん」


どくどくと高鳴る心臓がこの想いを伝える。


「あんさ、亜倖…」


「ん?」


「俺…」


―ガチャッ


「姉ちゃん〜父ちゃんが…ッ」


「「!?」」


亮の腕がバッと離れる。


赤く染まっていく頬を隠すように、孝倖に怒鳴る。


「孝倖!!部屋入るときはノックしろゆぅたやろ!!」