君だから〜たった一人の君〜


絶対離さない、とにんまり笑う。


そんな亜倖に亮は折れて、黙って後に続いた。


「ここやで」


「…デカッ」


「そぉか?普通やけど」


真新しい扉を開けて中に入っていく。


「ただいまぁ」


「…お邪魔します」


大人しい亮に少し笑って、リビングに入る。


「ただいま」


「「おかえり〜」」


リビングには母と弟の孝倖、妹の紗倖が居た。


「オカン、救急箱どこっけ?」


「ハァ!?亜倖アンタまた…」


そう怒鳴りながら振り返った母が、亮を見て固まった。