君だから〜たった一人の君〜


殴られながらも全く抵抗しない亮。


亜倖の目から大粒の涙が零れた。


「お前なんかに俺の亜倖を盗られてたまるか!!」


「遊馬ッッッ!!」


痛々しかった。


昔の遊馬は今よりずっといい奴だった。


「もうやめて…何でこないなことするん?アンタそんな奴やなかったやろ…?」


亮を殴るのをやめて、遊馬がこちらに振り返る。


その顔は、笑っていた。


「亜倖が俺から逃げるからや」


「…っ」