君だから〜たった一人の君〜


思うように動かない体を動かして、遊馬に向かって走った。


―ドッ…


渾身の体当たりも、抱きしめられて終わった。


「離せ…っ!」


「亜倖から来たくせに〜んで、亜倖は」


「いやっ!」


「亜倖ッ!!」


「―ッ!」


亮に呼ばれて、振り返った。


「何言われても俺はお前のダチや」


亮は穏やかな笑みを浮かべていた。


涙が零れそうなのを、必死で我慢した。


「亜倖は、元3中最強の総長」


…亮にだけは、知られたくなった。