君だから〜たった一人の君〜


―ガツッ


「―!?」


痛みが来ない…目を開けると、見慣れた大きな背中があった。


「りょ…う?」


「…なんや」


「なんで…なんでここに…??なんで…ウチのために…」


痛みが来るはずだった頬。


それは…亜倖の頬ではなくて、殴ろうとした奴の頬に。


「なんやお前?!」


「あ?緋澄亮。俺のシマでよぅ好き勝手してくれたなぁ」


そう言い捨て、更に殴っていく。


強い…。


思わずため息を吐いてしまうような強さ。