君だから〜たった一人の君〜


「―はっ…はぁ…っ」


「ん〜荒れてるなぁ。リップ塗らんばやろぉ?」


そう言いながら、鞄に近づいていく。


「やめろ、触んな!!」


それは、亮が何回も触った鞄。


誰かが触れたら亮が触ったことも上塗りされてしまいそうで、嫌だった。


「っ…コイツ、総長に向かって!!」


1人が手を振り下ろす。


避けようとして、体が思うように動かないことに気が付いた。


来る…!!!!


とっさに目をつむった。


「―フッ」