oneself 前編

待ち合わせ場所は、哲平の家がある、最寄の駅。


哲平は、あたしとは違う地下鉄沿線に住んでいる。


あたしの学校は阪急線沿い。


それで梅田まで出て、あたしの家へは、四つ橋線に乗る。


哲平の家へは、御堂筋線に乗らないといけない。


でも哲平の家が、あたし達が一番落ち着いて、ゆっくり出来る場所だから。


「着いたで～！」


そうメールを送ってすぐに、あたしの背後から、愛しい人の声がする。


「ずっとここにおったのに、気付けよ！」


振り返った先には、初めて見る、作業服姿の哲平がいた。


「似合ってるやん」


「それ、あんま嬉しくないし…」


薄いグリーンの作業服に身を包んだ哲平は、もうすっかり社会人の顔をしていて。


気付かなかった事に反省しつつも、頑張ってるんだと思うと、嬉しくなった。