oneself 前編

「慣れるまでは、しんどいかもなぁ。でも頑張らんとな!」


「おう!」


そう力強く答えた哲平はふいに立ち上がると、窓際のベッドに腰をおろした。


「未来、来て」


哲平が優しい笑顔で、あたしを手招きする。


「うん」


そう言ってあたしは静かに立ち上がり、哲平の隣に同じように腰をおろす。


「未来…」


哲平の両腕が、ふわりとあたしを包み込んだ。


さっきよりも少し速さを増した、心臓の音を感じる。


でも哲平の胸に顔を埋めると、同じような少し早いリズムを刻む音を感じた。


「哲平…」


顔は埋めたまま、哲平の腰に、腕を回した。


ねぇ、こんな風に、男の人の腕の中が心地良くて、安心するなんて、哲平と付き合って初めて知ったんだよ。