oneself 前編

あたしはキャバクラで働いていると打ち明けてくれた翼に、自分の事を語り出した。


急に大人っぽくなった友達に影響されて、自分も変わりたいと思った事。


一気に沢山の洋服や化粧品を買った事。


もうほとんど手持ちのお金は残っていない事。


そして、クレジットカードを手に入れた事。


翼はそんなあたしの話を、時折優しく相槌を打ちながら、真剣に聞いてくれていた。


きっとこれが何の共通点のなくて、そんなあたしを馬鹿だと叱るような人になら、あたしは打ち明けなかったと思う。


今月末には携帯の支払い、3週間後にはカードの支払いがある事も話し終え、あたしはため息まじりに、「どうしよう…」と呟いた。


実際、今からどこかでバイトを始めたところで、給料を貰えるのはもっと先になる。


それを分かっていて、今までのんきにしていたあたしは、正直大馬鹿者だと思う。


いざとなれば誰かが助けてくれるという、甘えた考え。


高校時代、お小遣いがなくなったら、両親に頼み込んで助けてもらっていた。


その頃とは、金額が全く違う。


両親とはあまり上手くいっていない今、そんな事を言える状況でもない。


じゃあどうするの?…と聞かれたら、あたしは結局、何も考えていなかったんだと思う。


哲平に対する不安な思いから解放されたくて…


自分の気持ちを満たす事に必死で…