香は未だに、彼の事を好きなんだろう。


あたしに話さなかった、もっと辛い事もあったんだろう。


それでも前を向いて、進み出している。


自分の事も大変なのに、あたしの事を心配してくれる。


あたしもまずは、バイトを始めなきゃ…


それを気付かせてくれた事に感謝した。


香には幸せになって欲しい…


香だけじゃない。


幸子も、奈美も。


そしてあたしも…


電車に揺られながら、そんな事を考えていた。


現実はそんなに、甘くはないのだけれど…