oneself 前編

そしてあたしは高2のバレンタインデーに、幸子と香に後押しされ、意を決して、彼に告白する事を決めた。


うまくいくなんて、そんな事は微塵も思ってなくて。


ただ、自分の気持ちも、存在も、何も知られないままで、諦める事は出来なかったから。


バレンタインデー当日の朝、朝練に行く前の彼に、チョコを渡した。


沢山のチョコを貰うであろう彼の中で、少しでも記憶に残るように。


もちろん、結果は駄目だった。


「ごめん、自分が好きになった人と、付き合いたいから」