そんなあたしに香は嫌な顔ひとつせず、大きな目を更に見開いて聞いてくる。
「まだ辞めてないん?」
「うん…」
あたしは4月からの事、この前の京都での事、全てを打ち明けた。
自分の事のように、目を潤ます香。
「でも、好きなら仕方ないやんな。あたしもそうやもん…」
香のこういう所に、優しさを感じた。
あたしの為を思って、あえて厳しい事を言ってくれる幸子にも、もちろん感謝はしている。
でも、簡単に気持ちは変えられない。
別れる勇気なんかない。
結局あたしは哲平が好きで、今の現状を受け入れてしまったのだから。
「そうやねんな…」
さきほど運ばれて来たケーキをちびちびと口に運びながら、思わず漏れるため息。
その時、テーブルに肘をつき、頬杖をつく香の手を見て、あたしはハッと気がついた。
「香、ネイルどうしたん?」
そう、さっき感じた違和感。
以前は綺麗に手入れをされていた香の爪は短く、そしてマニキュアさえも塗られていなかった。
「まだ辞めてないん?」
「うん…」
あたしは4月からの事、この前の京都での事、全てを打ち明けた。
自分の事のように、目を潤ます香。
「でも、好きなら仕方ないやんな。あたしもそうやもん…」
香のこういう所に、優しさを感じた。
あたしの為を思って、あえて厳しい事を言ってくれる幸子にも、もちろん感謝はしている。
でも、簡単に気持ちは変えられない。
別れる勇気なんかない。
結局あたしは哲平が好きで、今の現状を受け入れてしまったのだから。
「そうやねんな…」
さきほど運ばれて来たケーキをちびちびと口に運びながら、思わず漏れるため息。
その時、テーブルに肘をつき、頬杖をつく香の手を見て、あたしはハッと気がついた。
「香、ネイルどうしたん?」
そう、さっき感じた違和感。
以前は綺麗に手入れをされていた香の爪は短く、そしてマニキュアさえも塗られていなかった。



