oneself 前編

「広瀬君また告られたらしいで」


何度となく耳に入ってくる彼の噂に、胸が痛む。


「でも断ったねんて」


その度に、胸を撫で下ろす。


彼の姿を目で追うようになれば、当然その周りの女の子達の姿も目に入る。


分かってはいたけれど、彼はすごくモテる人で。


それでも日増しに、思いは強くなる。


どうする事も出来ないまま、幸子と香には、毎日のように愚痴をこぼしていた。


諦めた方がいいのかな…


何度となく思いながら、年は明け、3学期を迎えていた。