oneself 前編

何も言わない哲平。


あたしはだんだんと腹が立ってきて、哲平を思いっきり睨みつけた。


「絶対に嫌!」


もうこれ以上、何も言う事はない。


確かにキッカケは、あたしの思いやりのなさかも知れない。


だから、一ケ月だけは我慢しようって思った。


でもやっぱり、ホストの仕事を理解出来るほど、あたしは大人じゃない。


でも、どれだけ大人になったって、あたしには理解出来ない。


好きだから。


不安はもちろん、あたし以外の女の人に、優しくなんかして欲しくない。


あたしは今までに、こんなに強く自分の意見を主張した事があるだろうか?


哲平もそんなあたしの言葉に、気持ちに、気付いてくれるでしょう?


数秒が、とてつもなく長く感じた。


哲平の言葉を待つあたし。


分かったよって。


じゃあ後一週間で辞めるよって。


そんな言葉を期待していた。