oneself 前編

その瞬間、この先の幸せな未来の想像が、音をたてて崩れていった。


何で?


後一週間でしょ?


だからこそ、あたしは必死で耐えてきたのに。


「嫌…」


そう言うのが精一杯だった。


今度はあたしが唇を噛み締めた。


そうじゃないと、泣いてしまいそうだったから。


「ごめん…」


再び謝る哲平。


そんな言葉が欲しいんじゃない。


あたしは握りっぱなしだったお箸を、乱暴にテーブルに置いた。


「何でよ?一ケ月って言ったやんか!」


仕事なのかも知れない。


でもやっぱりあたしの事を思うのなら、すぐにでも辞めて欲しいのが本音。


それがまた延びるだなんて…


哲平はあたしの事を、考えてはくれないの?