幸子と顔を見合せ、その方向へ足をやった時だった。
あたしは思わず幸子の腕を引っ張って、ビルの陰に隠れた。
幸子とあたしが見つめる視線の先。
ニッコリと微笑む哲平と、お客さんらしき女性の姿。
軽く言葉を交わした後、女性が哲平の腕に絡みつく。
そのまま二人は笑い合いながら、ビルの中へと消えて行った。
ただ茫然として、動けないでいるあたしの肩を、幸子がポンポンと叩いた。
「行こっか」
「あ、うん…」
重い足取りで、待ち合わせ場所へと向かう。
「ごめん、あたしが行こうって言ったから」
幸子はあたしの顔を心配そうに覗き込み、ポツリとそう言った。
出来る事なら、あんなとこ見たくなかった。
でも、幸子が悪いんじゃない。
彼女なのに、隠れて見る事しか出来ない自分。
そんな自分が情けなくて、何故か笑えてきた。
あたしは思わず幸子の腕を引っ張って、ビルの陰に隠れた。
幸子とあたしが見つめる視線の先。
ニッコリと微笑む哲平と、お客さんらしき女性の姿。
軽く言葉を交わした後、女性が哲平の腕に絡みつく。
そのまま二人は笑い合いながら、ビルの中へと消えて行った。
ただ茫然として、動けないでいるあたしの肩を、幸子がポンポンと叩いた。
「行こっか」
「あ、うん…」
重い足取りで、待ち合わせ場所へと向かう。
「ごめん、あたしが行こうって言ったから」
幸子はあたしの顔を心配そうに覗き込み、ポツリとそう言った。
出来る事なら、あんなとこ見たくなかった。
でも、幸子が悪いんじゃない。
彼女なのに、隠れて見る事しか出来ない自分。
そんな自分が情けなくて、何故か笑えてきた。



