oneself 前編

何件か気になったものを手帳にメモしながら、ふと時計を見ると、もう12時前になっていた。


そろそろ哲平も終わる頃だよね。


あたしは鞄から携帯を取り出し、哲平に送るメールを作成する。


ちょうどその時、メール作成中の画面が、着信画面に切り替わった。


着信 哲平


あまりのタイミングの良さに、軽く吹き出しながら、電話に出る。


「もしもし」


「未来、どこおるん?もう着いてる?」


「着いてるで。お店の近くの漫画喫茶におる」


少し小声で話しながら、あたしはパソコンに開かれた画面を閉じ、お店を出る準備をした。


「俺もあがらしてもらえた」


「ほな、お店の前まで行くわ」


そう言って、張り切ってドアを開けようとした時だった。


「俺が行くから。どこの漫画喫茶?」


「カラオケとゲーセンが一緒になってるとこやけど…あたしが行くで?」


「いや、俺がそっち行くから。未来は待ってて!」