oneself 前編

それからは、次々と運ばれてくる料理に口を付けながら、とりとめもない話をしながら過ごした。


ファッションの事。


お洒落でおいしいお店の事。


高校時代の誰々は、今はどうしてるだとか。


そして料理を食べ終えた頃、時刻は9時半になろうとしていた。


「幸子は明日も仕事やし、そろそろ帰ろっか」


「お、気が利くね~」


そう言って笑いながら答えた幸子。


次の日仕事がある人に、そうやって言ってあげるのも、思いやりなんだ。


そう思えば哲平は、あたしの都合で休みの日に会えなかった週は、平日に会いに来てくれて。


それでも出来る限り、長く居てくれてた。


やっぱりあたしは、思いやりが足りなかったんだ。