oneself 前編

あたしはそんな事は何も知らずに、大学生活を楽しんでて。


そんな哲平を気遣うどころか、逆に不安にさせてて。


彼女のくせに、何してたんだろ。


話を聞きながらどんどんと暗くなっていくあたし。


そんなあたしに気付いて、先輩は優しく言った。


「でもな、あいつは未来ちゃんの事、何も悪く言ってないで。未来ちゃんに対して、そんな風に思ってまう自分が嫌やって。仕事に対して、やりがいを感じられへん自分が嫌やって。そんな事ばっかり思ってる自分から、変わりたいって」


哲平…


何でそんなに優しいの?


哲平はいつだって前向きで。


それが周りから頼られて、引っ張っていく強さで。


周りから憧れられて、愛されてた魅力で。


だから哲平がそんな風に思ってたなんて、想像もつかなくて。


でも、それだけこの一ケ月間は、悩んでたんだ。