「なんで別れないわけ? そこまでボロボロにされて。」



どれだけ愛があったとしても、僕には無理だ。


傷のことが無かったとしても、それほどまでに大きな愛を、僕は背負う気にもなれない。


そこらの川辺にでも、ポイと捨ててやりたいのが心境。



「……なんでだろうね?」



今のはあくまで僕のことだけど、しずくは違うらしい。



「痛くないの、その傷。」


「痛いよ……痛い、けど。……それでも、彼が好きなの。」



当時の僕には、その言葉の意味が何一つ分からなかった。



どうしてそこまで愛にこだわるのか。


どうしてそこまで、大地を愛せるのか。



僕には理解出来そうにない、言葉の類だった。