秘密の猫



「いやだわお兄様。別に何も考えてなんかいませんよ」




「お前がそんな顔をしてる時はいつも悪知恵を働かせてる」





私は後ろからお兄様の耳元に近づいて
とびきり甘い声で囁いた。







「そんな顔って、どんな顔?」





「物欲しそうにしてるいやらしいその顔だ」






とたんに塞がれる唇。
広がるのは苦いコーヒーの味。

蒼は容赦なく
奥の奥まで吸い付いてくる。

王様は、シンデレラが王子様を誘惑しないか心配で気が気じゃないようだ。






「…ん…っはぁ……」





「その声も久しぶりだ」







蒼は満足そうにそう呟いた。