幼なじみの溺愛が危険すぎる。

「今日は体験で女の子が来るから暇なら来ないかって、館長から呼び出されただけだよ」


「せっかく来たんだから、りり花ももう少し稽古つけていけばいいのに」


颯大の言葉に少し悩んで、カバンを肩にかけた。


「今日は帰るよ」


遅くなるとまた玲音の機嫌が悪くなるかもしれない。



「じゃ、送る」


道場の出口でサンダルを履いた颯大に笑顔で首をふった。


「まだ明るいから大丈夫だよ。

颯大はこれから自分の稽古だよね?」



「つうか、ちょっと用事もあるし」



結局、颯大に押し切られるようにして道場からマンションまでの道を並んで歩いた。



「小学生に稽古つけるの、すごく楽しそうだね。みんな、すごく可愛いし」


それを聞いた颯大は苦笑いしながら頭をかいた。


「可愛いだけじゃなくて、今の小学生ってめっちゃ上手いんだよ。

マジで負けそう」



「まさかっ!

次の大会の優勝候補の颯大が小学生に負けたりしないよ。

小学生の子たち、みんなキラキラした目で颯大のこと見てたよ」



「うわっ、マジで?
ますます負けられねぇじゃん」


目尻を下げて優しく笑う颯大に思わず頬がゆるむ。


颯大、昔とかわらないなあ。

誰よりも強いのに絶対にそれをひけらかしたりはしない。


あれ……


マンションに近づいたところで、ふと違和感を感じた。


「颯大………」


立ち止まって、颯大の足元をじっと見つめる。