幼なじみの溺愛が危険すぎる。

混んだバスに乗り込むと、隣であくびをしている玲音に訊ねた。



「玲音、今夜食べたいものある?」



「おにぎり」



迷わず答えた玲音に首をかしげる。



「おにぎり?お弁当じゃなくて今夜の夕飯だよ?」



「うん、りりちゃんのおにぎりが食べたい。

初めてりりちゃんに作ってもらったのがおにぎりだったよね?」



「そうだっけ?」



うーん…


全然覚えてない………



「ほら、りりちゃんと2人で留守番してたときに俺が腹空かせて泣いたことがあったじゃん。

そしたら、りりちゃんがめちゃくちゃでかいおにぎり作ってくれてさ。

あれがまた食べたい!」




留守番?


でかいおにぎり?



「あっ!保育園のころに両手で作った大きなおにぎり?!」



「そう、それ!」



「玲音、顔じゅうご飯粒だらけにして食べてくれたよね」



その後、水嫌いの玲音の顔を洗うのがすごく大変で、

もう二度と大きすぎるおにぎりは作らないと心に誓ったんだっけ……



「今だにあのおにぎりを超える味はない」



「……本気で?」



毎日作ってる煮物とか揚げ物が、保育園時代に作った塩にぎりに負けてるのかと思うと、

なんだか微妙……



「だから、久しぶりにあれが食べたい♪」



「了解っ!ま、少し複雑な思いはあるけど簡単で助かる」



すると、玲音が私の耳元に顔を寄せた。



「おにぎりだけじゃなくて、俺、りりちゃんのことも好きだよ?」




「そんなこと内緒話で言わなくてもわかってるよ?」



「りりちゃんは俺のこと好き?」



「うん」



「……だよね。ま、いいけど」




深いため息をついた玲音をキョトンと見上げた。