幼なじみの溺愛が危険すぎる。

「りりちゃんがね、ここに来て"玲音がタマネギ食べてくれなくて困る…"とか、"お肉ばかり食べたがる"とかね、

あなたのことを相談してくれるのが嬉しかった。

ちょっとだけ、あなたの子育てを手伝わせてもらえた気持ちになれたから」


乱れる呼吸に苦しげに軽く目をつぶった母さんの背中にゆっくりと手を伸ばし、

やせ細った背中をさすった。


母さんの背中をさすりながら、

いくつもの管につながれた折れてしまいそうなほどに細い母さんの腕をじっと見つめた。




「もう、話さなくていいから…」



けれど、母さんは俺の言葉を無視して話し続けた。



「でもね、突然りりちゃんから全く写真が送られてこなくなったの。

代わりにりりちゃんが毎日ここに来てくれるようになった。


"玲音、試合前で練習がすごく忙しくて病院に来られないんです"

"おばさんにすごく会いたがってますよ"

とは言ってくれたけど、

さすがにお母さんも小さい頃からりりちゃんのことを見てるんだもん。

わかるわよね、そんな嘘。


そしたら、りりちゃんが女の子と歩いてるあなたの写真を送ってきてくれたの。


りりちゃんに誰なのか聞いたら、

" 玲音くん、彼女ができたんです。すごくいい子なんですよ!

私もちょっと楽になりました"


って、りりちゃん笑いながらそう言ってた」


そこまで言うと、母さんは痛みに耐えるように目を伏せた。



「でもね、この写真見てわかったの。

りりちゃん、私に写真を送ろうにも送れなかったのよね。

今のあなたを見たら、私が心配すると思って私に本当のことを言えなかったのよね?

私が心配するようなことをしてたのよね?」


淡々とした母さんの言葉になにも言い返すことができなかった。



「あなたがなにをしていようが、自分で責任を取れることならそれはそれで構わない。


でも、りりちゃんはどんな気持ちでこの写真を送ってきたと思う?

どんな気持ちで毎日を過ごして、

どんな気持ちで私にあなたの話をしてきたと思う?


あなたのことを心配しながら、私に気遣って過ごしてきたあの子の気持ちを考えたら…

もう、これ以上、りりちゃんには甘えられない。

……玲音、もうりりちゃんから離れなさい」