「春にまた、会えるといいね。」 「…そうだね。」 教室を出て行く男の子の後ろ姿に、目が離せなくなる。 …私は、知らない場所で気になる人に出会った。 「…また、会えるといいな。」 口から漏れた私の独り言は誰の耳にも届く事はなくて、ざわめきの中へ消えていく。 …また、会いたい。 名前も知らないけど、また会う事が出来るのなら…もっといっぱい話したい。 私は自分の胸を手で押さえる。 あの時感じた、胸の高鳴りを思い出すようにして。