七海くんにそんなうるうるした顏をされたら、これ以上嘘を突き通すことなんてできるわけない。
本当にわたしのタイプって頼れる、包容力のある年上の人だったんだけどな。
「……紹介してもらったって言うのは嘘だけど、気になる人がいるっていうのは本当。
わたし……本当は包容力のある年上の人が好みだったんだからね!」
「それって誰のことですか?」
誰ってそんなの目の前にいるのに……言える訳がない。
これ以上恥ずかしい気持ちにさせないでよ。
未だに七海くんと近いままだし。
「1回しか言わないからね」
わたしはそう言うとスっと息を吸った。

