時間が止まったようにお互い見つめ合う。


桜の花びらがヒラヒラと彼の頭へ落ちた。

その瞬間、止まったような時間から解放された。


『あ、助けていただいてありがとうございます。』

彼ははっと我に帰り、早口で返す。

「いや!謝らないで!俺が前を見ていなかったから!ほんとごめん!」


勢いよく頭を下げる彼にあたしが門の前で立ち止まっていたせいですので頭を上げてください。と足す。

バツの悪そうに顔を上げる彼は、頭をポリポリ掻きながら

「俺、速水蒼(はやみ そう)君は?」

と、聞いてきた。

『あたしは、翼。椎名翼。』

「椎名。よろしくな!」

無邪気に微笑む。


「魔力測定をまだ行っていない生徒は 速やかに並んでください。」