キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~



雑貨を選び終えた私たちは一休みしてから、モールの中に新しく入ったという競合店の調査に行くことに。

うちの会社のような、昔ながらのチェーン店ではなく、それこそ雑貨屋さんのような雰囲気。

広告やアニメやアパレルブランドとのコラボ商品、自社開発商品なんかにお金をかけていて、同業の中でもここ何年かで急成長を遂げている会社の店舗だ。

『安い値段ですぐできる』が謳い文句で、客層は10代から30代が多い。


「景気が良くなってきて、こういうディスカウント店の勢いも前ほどじゃなくなってきたけどな。店長としては、一応どういう店か知っておかないと」


と、店長は小声で言いながら一歩踏み入れた。

平日にも関わらず、オープン直後ということで何組もお客さんが入っている。


「やっぱり若い客が多いな」


小声で言いながら、矢崎店長は商品をざっと眺める。


「これかけてみな」

「はい」


店長がとったメガネを私がかける。


「どうだ?」

「軽くて柔らかくて、かけやすいです」

「樹脂だもんな。金属ほど微妙な調整はできないが、やっぱりかけやすいよな」


二人で鏡をのぞきこみながらぼそぼそ言っているけど、だれも気にしない。

店員さんも、老舗のチェーン店みたいに、ガンガン声掛けしてお客さんを捕まえようっていう気はないみたい。