「なるほど。アンティークもどきがいいわけですね」
こういうのは?と手のひらサイズの地球儀を差し出すと、やっとうなずいてくれた。
トランクとか蓄音機とか、昔の西洋の田舎を想起させる雑貨を、次々に手にとってみる。
「たしかに、今まで通ってきた洋服屋さんも、棚の上にこういうの置いてましたね」
あっちは大きな瓶にカラフルな毛糸玉がつまっていたっけ。
「だろ?今時どこも鴨や鯛なんか置いてないんだ」
よく見てたな、と私を褒めると、店長はガーデニング用の小さな銀色のバケツに入った、小さなはっぱがついた植物を見つめた。
「……けど、高いんだよな。経費には限りがあるし。ハゲ地区長があの鴨を買ってきたりしなきゃ、まだ予算をかけられるのに」
鴨、鴨と店長が連呼するので、面白くなってきて、思わずふきだす。
「ふふふ。とにかく、100均や300均で買えそうなものはそっちで探すとして、買えなさそうなものだけゲットしましょうよ」
「だな。ちなみにこれ飾るのはお前の役目だからな」
つられたのか、店長はにやりと笑いながら数点の小物を持ってレジへ向かう。
「ええ~?店長やらないんですか?」
「ダメ出しはたっぷりしてやるよ」
「そんなあ」
はあ……また仕事が増えちゃった。
まあいいか。期待されていると思い込んで、がんばろう……。



