キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~



それに、パスタをフォークの上でくるくるもしない。あれをするのは日本人だけって、どこかで聞いたことあったっけ。

近くのカップルのテーブルからは、男の人がずるずるとラーメンみたいにパスタをすする音が聞こえてきていたけど、店長からはそれもない。


「……何見てんだ。食わないのか」


指摘されて気づけば、フォークを口にくわえたままボーっとしていたみたい。

怪訝そうな顔で、店長がこちらを見ていた。

あわわ、人のこといえない。私も行儀が悪かった。


「いや、すごくキレイな食べ方をなさるんだなって思って、ちょっと見とれてました」


素直に感心したことを伝えると、店長は照れを隠しているような、ちょっと怒ったような顔をした。


「そんなとこ見てんじゃねえよ。ほら、お前も食え」

「……あまり見ないでくださいね」


情けないけど、そこまでキレイに食べられる自信はない。


「どうでもいいよ、食べ方なんて。気取って小食ぶられる方が嫌だね」


そう言って店長は、ティラミスが乗ったデザートピザを、なぜか序盤から私に寄越した。

いらねー。とは言えず、とりあえずそれを食べてから、トマト系パスタに移る。


「あ、そういえば、コレやるわ」


私がジュースを飲んでコップを置いた瞬間、矢崎店長が何かをポケットから取り出し、テーブルの上に置いた。