キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~



ちょうどお昼頃になり、混んできた飲食店の並ぶ通りで、店長は私の手を離す。


「お前は何やってんだよ。突然他人のテーブルに突撃していくから、声かけづらかったじゃねえか」


どうやら、店長は待ち合わせ場所の入口から私を見つけたらしい。


「いやいや、偶然音信不通の友達に会ったもので、興奮しちゃって……」


事情を説明すると、矢崎店長は眉をひそめ、仕事中のような怖い顔をした。


「まさかお前、あの友達の彼氏を狙ってるんじゃなかろうな?」

「はい?なんでそんな話に?」

「やけにいい男だったから」


高浜さん……たしかに優しげで、素敵な人だったけど。


「友達の彼氏とったりしませんよ」

「そのわりには興味津々だったじゃないか」

「そりゃあ……女の子は、人の恋バナが好きですから。純粋に興味だけです」


世の中には素敵な男の人と見れば、友達の彼氏だろうが他人の旦那さんだろうが、平気でとっていける肉食女子もいるだろうけど、私はそこまでやる気はない。


「それに、私、ゴリマッチョはダメなんです。細マッチョが好きなんです」


ちらりと矢崎店長を見上げる。

今日は当たり前だけどスーツじゃない。

シンプルな飾り気のないグレーのカットソーの首から、黒い……多分タンクトップ?がのぞいている。

下半身はテーパードデニムに、レザースニーカー。