『……じゃあ、明日暇か?休みだろ?』
「え?ええ、暇ですけど……」
もしかして、誰か突然出勤できなくなったから代わりに、とか、近くのお店に応援に行って、とか?
『俺も休みなんだけど』
「はい」
『一日、つきあってくれないか』
………………?
一瞬店長が何を言っているのか、わからなかった。
でも、これは……もしかして、デートのお誘い!?
「は、はい!どこへでしょうか?」
『うちの店の近くのショッピングモールあるだろ。あそこ。
ディスプレイの雑貨探しと、最近できた競合店の調査につきあえ』
なんだ……車で海に行くとか、映画を見に行くとか、そういうのじゃないのね。むしろ、教育の一環だよね。
でもいいや!こんなチャンス、滅多にないし!
内心ドキドキしてるのに、口から出た返事は……。
「ご飯おごってくれるなら、行ってもいいですよ」
って、違うでしょ~!
なんで素直になれないのかな。
『ああ、昼飯くらいはおごってやるよ』
店長は別に気を悪くした様子もない。
「では……現地集合でようございますか?」
『ああ、じゃあ明日』
と、場所と時間を決め、電話を切った。
私はベッドから降り、小さなクローゼットを開けた。
こうしてはいられない。
服を選んで、髪型を決めて……あああ、シートマスクが切れてる。ご飯のついでに、コンビニで買ってこなきゃ。
まさか、休日に店長と会うことになるなんて!
急に元気の出た私は、バタバタと精力的に動き出した。



