そうだ、明日はまたあの占い師のところに行ってみようかなあ。
運命の人が店長だったらいいのになあ……。
なんて乙女なことを考えながらうとうとしていたら、不意にバッグの中からスマホのバイブ音が聞こえた。
「なによう~」
メールなら無視だけど、バイブ音が何秒も続くということは、着信だ。
わざわざ電話をかけてくるなんて、よっぽどの用事だろう。
「もしもし」
表示された相手の名前も見ずに画面をスライドすると、向こうから疲れたような男の人の声が。
『おう、お疲れ。今大丈夫か?』
名乗りもしないんだけど……。
こんなに親しげに話しかけてくる男の人、いたっけ?
少しぼんやりしていると、向こうから咳ばらいが聞こえた。
『……矢崎だけど』
「はぅあ!!」
ややややや矢崎店長!?
私はベッドの上で、正座で座りなおした。
「おおおお疲れさまです!」
すぐ気づかないなんて、なんという失態。
『忙しかったか』
「大丈夫です!なにもしてませんでしたので!ええ!」
『ビビりすぎだろ』
呆れたような声が聞こえてきた。
いやいや、たしかにビビったけど、別に店長が怖いからテンパってるわけじゃありませんから。
『やっぱいいや』
「えっ、なんですか!気になるじゃないですか!」
わざわざ電話かけてきて、用件も言わずに切らないで。



