その後二日は、長井くんと協力し、なんとか無事に終えることができた。
平尾さんは自分のやったことが私に知られていると知らないのか、謝罪しないどころか、まったくの無視。
杉田さんはまた、良い人の仮面をかぶり、私に接してきていた。
ここで露骨な態度を取れば、今度こそ自分の立場が危うくなると思ったんだろう。さすが大人だ。
「は~。明日は休みだ~」
「おつかれ、はっちゃん」
私たちの休みはシフト制で、何曜日とも決まっていない。
一日行って休みなんてときもあれば、6日連勤なんてときもある。
「なかなかはっちゃんと休みが合わないなあ。店長、わざとかな」
長井くんがしょんぼりして言う。
「そんなことしても店長に何のメリットもないじゃない」
笑って答えると、長井くんもにへっと笑った。
問題だらけのお店の中だけど、長井くんとの間だけは、なんとか平穏を保っている。
長井くんはもしかしたら、このなかで一番大人なのかも。
杉田さんや平尾さんにも以前どおりに接して、険悪になりそうなお店の雰囲気を、いつも和ませてくれていた。
とはいえ、店長が見張ってくれていないお店の中はとにかく疲れる。
私は帰宅するとメガネをはずし、そのままベッドにダイブした。
「ふへ~」
矢崎店長がいないから、今日は黒目コンタクトさぼっちゃったんだもーん。
裸眼だから、このままちょっと寝たっていいんだもん……。



