キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~



「……杉田さんに触られるのは嫌でも、矢崎店長ならいいんだ。嬉しそうに加工教えてもらってさ……やっぱりイケメンだから?はっちゃんって、現金だよね」


現金?同じ女なのに、セクハラをされる怖さと、ちゃんと教育してくれる人に対する気持ちの違いも想像できないの?


イライラが頂点に達する。


いい加減に黙れっ、このおしゃべりババア!


……そんな怒りが、指先に伝わってしまったような気がした。

プラスチックのフレームから外したレンズが指先からつるりと逃げる。

それはトレーの中に落ちて、ぱきんと音を立てた。


「あっ!」


平尾さんが私より先に悲鳴をあげた。


「ガラス……」


普通、プラスチックフレームには、軽いプラスチックレンズが入っていることがほとんど。

そう思い込んで、トレーの中にメガネふきを入れておくのを忘れてしまった。

外れて落ちたレンズはガラス製で、無残なヒビが入ってしまった。


「なにやってんだ」


お渡しを終えた矢崎店長が音に気づき、早足でやってくる。

平尾さんが青い顔で、ささっと逃げた。


「……ごめんなさい。型直しで」


「やっちまったのか。俺じゃなくて、お客様に謝ってこい。とりあえずうちにあるプラスチックレンズを入れてお返しするから、無料で新しいガラスレンズを最速で注文する。伝えられるな?」


「はい!」