翌日は休みだった私は、翌々日に出勤した。
シフト表を見て、少しホッとする。
今日は矢崎店長はお休みだ。
寮にいると思えば気は抜けないけど、まだ普段よりはのんびりできる。
いつものように朝から昨日のメガネふきを持って寮に上がると……。
「あれ」
何故か矢崎店長が、部屋着のままソファで眠っていた。
メガネもかけっぱなしで、テーブルの上には厚い問題集みたいなものが。
耳にはイヤホンがついていて、コードは小型の音楽プレーヤーに繋がっている。
私は起こさないように、そっと後ろを通り、洗濯機にメガネふきを放り込んだ。
洗濯が終わるまで1階に戻ろうとして、ふと足を止めてしまう。
「……無防備な……」
矢崎店長はぐっすり眠っていて、起きる気配がない。
その顔はいつもの鬼からは想像できないくらい安らかで、見ていると何故か優しい気持ちになっていく。
私は矢崎店長のメガネとイヤホンをそっとはずし、テーブルの上に置いた。
そしてソファの下に落ちてしまっていた毛布を拾い上げ、肩までかけておいた。
これで、寒くないね。
私はすやすや眠る店長から離れ、足音を立てないように1階に降りていった。



