テンプルには、ちいさなジュエリーまでついている。
その横には18kやホワイトゴールド、今時べっこうでできた40万円なんてフレームもあるけど、月に2,3本出るかどうかだ。
べっこうなんて、ほとんどディスプレイみたいな扱いで、何年もお店に鎮座しているものもある。
「どうぞ、ご試着してみてください」
「いいの?」
「もちろんです」
手袋をし、トレーに出したピンクゴールドのフレームを女性の顔にかける。
適度な大きさのオーバル型で、優しい印象の女性にとてもよく似合っていた。
「いいわねえ……」
「とてもお似合いです」
どこがどう似合っているのか、ゆっくりと説明する。
すると、女性は「これにするわ」とカウンターに株主優待券を差し出した。
優待券があれば、フレームもレンズも半額になる。
そういう人にこそいいものをすすめろと、常々店長には言われていた。
「これ、使える?」
「もちろんです。ありがとうございます」
フレームは8万円。レンズも結局6万円のものに決定。半額で7万円だと言うと、女性はカードであっさり一括払いしてくれた。
その後丁寧にプレフィッティングとレンズの焦点の確認をし、やっとお見送りに。
今度お会いできるのは、出来上がりの一週間後だ。
「じゃあ、よろしくね」
「かしこまりました。ありがとうございます」



