「あら、仕方ないですよ。私の獲物に手を出したんだもの。当然の報いよ」
な、なにそれ。昼ドラの悪い人みたいな台詞。
「でもまさか、あの日にあんな雨が降るなんて。おかげで、飲酒に加えて寮に彼女を泊めるなんて現場も押さえられて、僕たちとしては幸運だった」
ええと、今までのことから推測するに……。
地区長と菜穂さんが、俊を恨んで退職させようと共謀した→三浦さんに頼んで、俊を連れ出してお酒を飲ませた……ってこと?
じゃあ、店内の画像や、キス現場を撮って本社に送りつけたのも、彼らなの?
俊も私も悪かったけど、まさか最初から仕組まれたことだったなんて。
こりゃあ、一言言ってやらなきゃ気が済まない!
ついでに地区長を締め上げて、俊の実家の住所を吐かせてやる!
拳をにぎりしめて、一歩踏み出した、そのとき。
ぐい、と肩を引かれた。
ハッと振り向くと、そこにいたのは……。
「しゅ……」
名前を呼び終える前に、彼はスパーンと音を立て、襖を開けた。
「な……」
「矢崎くん!?」
中にいたのは、やっぱり地区長と菜穂さん。そして、三浦さんだった。
「今の会話はすべて、録音させてもらいましたよ」
私服の俊は、小型のレコーダーをポケットから取り出し、不敵に笑う。
「まさか、あんたたちが仕組んだことだったとは」
「あの……俊?」



