地区長……?そうだ、この声は、地区長の声だ。フェラガモコーナーに、鴨の置物を置いたひと。
相手は?
耳を澄ますと、また他の声も聞こえてきた。
「強引さで三浦社長に勝る人はいませんからね」
「嫌だな、菜穂ちゃんに言われたくはないよ」
な……なぬ!?三浦社長に、菜穂ちゃん!?
それって、俊をむりやりフィリパブに連れていった三浦さんと、妄想暴走女子、菜穂さん?
まさか、そんなメンバーが集まっているわけはない。
私、お酒の飲みすぎでおかしくなっちゃったのかな。
頬を2,3回叩いてみると、しっかり痛い。
「さあ三浦さん、ここは私たちのおごりです。どんどん食べてください」
「そうそう。三浦さんのおかげで、矢崎店長に痛い目を見せることができたんだから」
……今、菜穂さんの声でハッキリ言った!『矢崎店長』って!
「しかし、ひどいなあ。地区長と菜穂さん、そんなに矢崎くんが嫌いだったの?俺はあいつ、割と好きだったけどね、生意気だったけど、そこが面白かった」
ドキドキと鳴る胸を押さえ、私はそっとその部屋に近づく。
「生意気すぎですよ」
「地区長は矢崎くんに手を焼いていたものね」
地区長と菜穂さんの会話が続く。
「けど、椎名さんを巻き込んだのは可哀想だったかな」
私を……巻き込んだ?



