キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~



なんなんだろう、あの人……。

最近、私の周りって、ハードな自己中に囲まれすぎじゃない?

約束もしていないのにいきなり来て、今から飲みに行こうとか、何様のつもりなんだろう。

しかもこんな雨の日に。俊、濡れないといいけど……。

ちょっとモヤモヤしていると、長井くんの電話が終わった。


「店長は?もしかして、三浦さんに連れて行かれちゃった?」

「うん。すぐに戻ってくるって言ってたけど」

「マジかよ。まずいな……」


長井くんは捨てられた子犬のような顔で、頭を抱えてしまった。


「どうしたの?」

「いや、どうしても今日メガネがほしいお客様が他の店舗に来ててさ……」


どうやら、その店舗でちょうどお客様に合う度数のレンズの在庫が切れているらしい。

そこで、長井くんに車でぱぱっと届けてほしいそうだ。


「うちにあるから、お客さんにこっちに来られないのかって聞いたんだけどさ。メガネが壊れてて見えなくて怖いから、一歩も移動したくないとか言ってるみたいで」


長井くんがメモした度数を見てみると、なるほどけっこう強度な近視。


「困ってるだろうね」

「けど、はっちゃんを一人にするわけには……」

「他の店舗に在庫は?」

「ないんだよ。近くの店で余ってるのは、うちだけみたい。もう、なんでこんな日に三浦さんが来るんだよ!」


長井くんが珍しくイラついた声で髪をかく。