はあとため息をつくと、気持ちを切り替え、パソコンに向かった。
売上を入力していると、やがてお客様がぱらぱらと入ってくる。
インショップは、買うつもりでなくても、ふらりと立ち寄って見るお客様もいる。
けど、俊だったら絶対、そういう人も買う気にさせちゃうんだろうな。
「いらっしゃいませ」
一応バックから出て、あまりガツガツいったら引いちゃいそうな若いご夫婦に、笑顔で声をかける。
するとなにか言いたそうにしているので、近づいてみた。
「あのう、昨日メガネが曲がっちゃったんですけど……」
なるほど、無料の型直し目的か。
鼻の金具が曲がっているのを直し、綺麗にふいて返しにいくと、ご夫婦はサングラスを交互にかけあっていた。
「それ、いいんじゃない?」
「そうかな。似合う?」
サングラスをかけたままお互いを見つめ、微笑みあうご夫婦。
はあ、いいね。仲がよろしいことで。
「本当ですね。奥様、とっても素敵ですね」
こういうとき、ご主人を先に褒めると、奥様に嫉妬されて商談不成立になってしまう場合がある。と教えてくれたのは、やっぱり俊だった。
「サングラス、一つほしいなあ~」
「大きめのものは、幅を調整いたしますので。どうぞ、どれでもお試しください」



