「椎名です。よろしくお願いします」
とりあえず挨拶をすると、なぜかぷいと横を向かれてしまった。
あれ?もしや、挨拶が遅れたから怒ってるのかしら。
とにかく、そこをどいてもらわないとパソコンが使えないなあ……。
「あの、昨日までの売上表ってどこに溜めてありますか?」
なんとなくパソコンを使いたいということを伝えようと、そう質問してみる。
すると爬虫類おばさんは、何の返事もせず、私にわざとぶつかりながら、厚いファイルと仕入伝票を抱えてお店の方へ出ていってしまった。
インショップは路面店よりスペースが狭いから、売り場の隅で事務作業をすることもある。
けど、今の態度はないよね!?
「あのー店長、すみません。売上表って……」
「あれ?山田さん、教えてくれなかったの?」
ほう、山田というのか、爬虫類おばさんよ。名前だけは覚えておいてやろう。
「若くて可愛い子に嫉妬してるのかな」
店長は山田さんに聞こえないように言って苦笑すると、昨日までの売上表を日別にクリップで留めたものを出してくれた。
もう、本当にそういうのいらないです。
私だって、女子高生の集団を見たりすると『若くていいなあ~』って思うけど、だからって意地悪しようとはしない。
前の地区のパートさんたちは、麻耶ちゃんを含め、若い子もおばちゃんもいたけど、皆優しくて良い人だったのになあ。なんでこっちの地区って曲者が多いんだろう。



