俊が言うには、既にどのエリアにも、地区長が一人いる。また新しい地区長が増えるとなれば、その席を開けなければならない。つまり、誰かが昇進か降格することになる。ということだ。
『そっちが決まってから、俺や他の奴らの異動も決まるだろう。もしかしたら、地区内で大異動があるかもな』
「そっかあ……また決まったら、教えてくださいね」
『ああ。決まったら、すぐに連絡する。じゃあ、おやすみ』
たった10分で、俊との電話は終わってしまった。
もともとおしゃべりな方ではないけれど、もう少し甘い言葉を囁くとかしてくれても罰は当たらないと思うんだけどなあ。
「しゃーない。明日もがんばって仕事するかぁ」
部屋着に着替えようと、服を脱ぐ。
いつお誘いがあってもいいようにと身につけている可愛い下着が、心なしか寂しそうに見えた。
寮からここまでは、往復1時間。
常に同じ日に休みをとるわけにはいかないから、二人で会える時間は相変わらず少ない。
「夜少しだけでも、会いに来てくれたらいいのに。バーカバーカ」
俊は翌日が仕事だと、絶対に夜遊びをしようとしない。
それは社会人としては当たり前なのかもしれないけど、私は寂しさを覚えずにはいられなかった。
麻耶ちゃんは彼氏と一緒に住んでるんだっけ。当然、もう全部済ませちゃったよね。
はあ……いいなあ。一緒に住んだら、夜絶対会えるもん。毎晩甘い時間を過ごしてるんだろうなあ。
ぼーっとそんなことを考えていたら、体が冷えてくしゃみが出た。
色恋のことばかり考えている自分が情けなくて、ついでにため息も出た。



