キミの瞳に恋してる ~運命の人は鬼上司!?~



閉店後、家に着くとスマホが鳴った。

まるで、私が帰宅する瞬間を待ち構えていたみたい。

ディスプレイに表示された『矢崎店長』の文字に心が躍る。


「はいっ、椎名です」

『俺だけど、今大丈夫か?』

「はい」


何かな。もしかして、試験の結果のこと?

ドキドキして次の言葉を待っていると、俊はすまなさそうな声で告げた。


『急で悪いが、明日他の店の応援に行ってくれないか。そこの社員のお母さんが倒れたらしい』


それは大変。もともと出勤の予定だったので、私はすぐに了承した。

そのお店は、いつもの駅より大きな駅に併設されている商業施設の中にあるインショップ。

働いたことはないけど、買い物には行ったことがあるから、迷うことはないだろう。


「じゃあ、10時までに着けばいいですね」

『悪いな。よろしく頼む』


たったそれだけで電話を切ろうとする気配が感じ取れた。


「あのっ」


思わず呼び止めるような声が出る。


『なんだ?』

「あの……ほら、地区長試験の結果。あれ、どうなったんですか?」


思い切って聞いてみると、俊は一瞬、黙ってしまった。

もしかして、落ちた……とか?


『それが、なかなか決まらねえみたいなんだよ』

「えっ?どういうことですか?」

『昇進は内定したらしいけど、異動先はまだ検討中……だとさ』