「寂しいって感想はないのね」
「はっちゃんもでしょ」
「うん、ごめん。ちょっとホッとしてるかも」
正直、あの二人のせいでだいぶ仕事がしにくかったから、新しいメンバーになるのを心待ちにしている自分がいる。
気の毒だとは、思うけどさ……。
「そういえば、店長もそろそろ試験の結果が出るころだよね」
「あ……そうだね」
「受かってほしい?落ちてほしい?」
からかうでもなく、ふと真剣な表情になった長井くん。
その質問は、私の胸に影を落とす。
「……わかんないや」
徹夜してそのまま寝てしまうくらい頑張っていたのだから、その努力が報われてほしいという思いはある。
けど、異動になってしまったら、やっぱり苦しいなあ……。
「正直だね」
長井くんはふっと笑って、ちょうど入ってきたお客様の元へ歩いていった。
試験の結果……どうなったのかな。
結果が出たら、教えてくれるはずだよね。
「こら、ぼーっとしてねえで仕事しろ」
完全にうわの空でいたら、休憩から戻ってきた俊に、ファイルで頭を叩かれてしまった。
もう。誰のことを考えてぼーっとしてたと思ってるのよ。ばか。
むっとすると同時にお客様が来て、私は急いで立ち上がった。
さあ、とびきりの笑顔を作ろう。
お客様に、私の事情は関係ない。
呪文のように何度も言い聞かせてきた言葉で自分を励まし、フロアに出ていった。



