「そしたら、被害者が続々と声を上げてさ。俺は言わないって約束してたから、地区長に聞かれてもお前がされたことは話さなかったけど」
「はあ……それで?」
「地区外異動。九州だって。帰ったら家族会議だろうな」
「うそっ!」
思わず叫んでしまって、慌てて振り返る。
杉田さんが閉じこもってしまった補聴器ルームのドアは、しっかりと閉まっていた。
良かった、防音室だから聞こえてないはず。
「杉田さんは九州に実家があるから、他のところよりはいいだろ」
「でも、お子さんがお友達と離れちゃうのは可哀想です」
「そんな子、いくらでもいるよ。あとは本人の頑張り次第だろ」
問題は、奥さんと子供が果たしてついてきてくれるかどうかだよな。
俊はそんな恐ろしいことをさらっと言うと、パソコンに向き直った。
そうか……私一人が黙っていたって、やっぱり悪事はいつか明るみに出るんだ。
「自業自得ってわけかあ」
翌日、休みだった長井くんに二人の異動のことを話すと、彼は腕組みをしてうなずいた。
自業自得。二人とも、そうとしか言いようがない。
「平尾さんがいなくなると、休みが少なくなるだろうなあ。杉田さんの代わり、良い人が来るといいけど」
今日は俊と私と長井くんの3人でお店を回している。
平尾さんは、今日も体調不良で休みらしい。本当かどうかはわからないけど。



