「きゃー!本物だ!
本物のATSUKIだあああああ!!」

お姉さんの美貌を目の当たりにし、
女子たちは崇拝し、
男子たちは固まっていた。

「昨日、準備を休んだ戦利品です。」
私は、お姉さんをそうみんなに紹介した。

えみを中心にあれよあれよという間に
客寄せとしてお姉さんに
文化祭の手伝いをしてもらうことになった。


そ、それにしても、
我ながら、台詞が下手すぎる。

先にも言ったが、
私が帰らないことが、
新やトロワに不都合をもたらすことはないし、
お姉さんを誘拐したところで、
全く意味のわからない展開になるだけだ。

「ねー!ATSUKIさんに
どれ着てもらう?」

えみの声ではっとした。

私は紙袋を渡した。
部屋から持って来たものだ。

「お姉さんには、
もう着てもらうものがあるから。」

なんだってよかったんだ。
店長とお姉さんを
会わせられるなら、
めちゃくちゃだって
意味不明だって、
やるしかないんだ。