その夜、
手紙を見るなり、
新は青くなった。

青くなったと思ったら、
いきなり、
「チカ、
しばらく、水瀬家泊まるか、
港に2人で逃げようか。」
と言い出した。


「やだよ。
もうすぐ文化祭だし、
私出席率ぎりだから。

新が言ったんじゃん。
絶対さぼらせないって。」

私は、
耳かきをしながら
適当に答えた。

「非常事態なんだ。」

新は、そう言って、
携帯で電話をかけた。


「店長?新です。」

ん?店長に電話?


「あの人が帰ってくるみたいです。
どうしましょう。

…。
はい。
…今から行きます。」

新は携帯を切った。


は?
今から?
どこに?


「ちょっと出かけてくる。」

新は上着をとって、
そのまま家を出てしまった。


あの手紙を持って。